眞鍋泰治税理士事務所

16 相続財産の公益法人等への寄附時の特例

お問い合わせはこちら

16 相続財産の公益法人等への寄附時の特例

16 相続財産の公益法人等への寄附時の特例

2024/09/01

横浜をはじめ、川崎、相模原、その他神奈川県下を中心に、相続、贈与に取り組む税理士の眞鍋です。

今回は、相続によって取得した財産を国、地方公共団体への寄附した場合に、その寄附をした財産や支出した金銭が相続税の対象とならない特例について説明します。

1.国、地方公共団体または公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附した場合の特例

相続や遺贈によって取得した財産を、相続税の申告期限までに、国、地方公共団体、公益を目的とする事業を行う特定の法人または認定非営利活動法人(認定NPO法人)に寄附した場合や特定の公益信託の信託財産とするために支出した場合に、その寄附をした財産や支出した金銭は相続税の対象としない特例があります。

この特例の適用を受けるには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。

(1) 寄附した財産は、相続や遺贈によって取得した財産であること(相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます)。

(2) その取得した財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること。

(3) 寄附した先が国、地方公共団体または教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる次に掲げる法人(「特定の公益法人」といいます。)であること。

①独立行政法人

②国立大学法人および大学共同利用機関法人

③地方独立行政法人で地方独立行政法人法に掲げる一定の業務を主たる目的とするもの

④公立大学法人

⑤自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、日本赤十字社および福島国際研究教育機構

⑥公益社団法人および公益財団法人

⑦私立学校法第3条に規定する学校法人で学校(学校教育法第1条に規定する学校および幼保連携型認定こども園)の設置もしくは学校および一定の専修学校の設置を主たる目的とするものまたは私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校の設置を主たる目的とするもの

⑧社会福祉法人

⑨更生保護法人

(注)特定の公益法人の範囲は上記の法人に限定されており、寄附の時点で既に設立されているものでなければなりません。

2.特定の公益信託の信託財産とするために支出をした場合の特例

この特例の適用を受けるためには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。

(1) 支出した金銭は相続や遺贈で取得したものであること。

相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。

(2) その金銭を相続税の申告書の提出期限までに支出すること。

(3) その受託者が信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第1条第1項に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含みます。)であり、その公益信託が、教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められるなど一定のものであることについて証明がされたものであること。

3.認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)に寄附した場合の特例

この特例の適用を受けるためには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。

(1) 寄附した財産は、相続や遺贈で取得したものであること。

相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。

(2) 取得した財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること。

(3) その認定NPO法人が行う特定非営利活動促進法第2条第1項に規定する特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をすること。

(注)認定NPO法人とは、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人のうち、一定の基準を満たすものとして所轄庁(都道府県知事または指定都市の長)の認定を受けたものをいいます。

4.特例の適用除外

次の場合は、これらの特例の適用を受けることができません。

(1) 寄附を受けた日から2年を経過した日までに特定の公益法人、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)または特定の公益信託に該当しなくなった場合や特定の公益法人または認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)がその財産を公益を目的とする事業の用または特定非営利活動に係る事業の用に使っていない場合

(2) 寄附または支出した人あるいは寄附または支出した人の親族などの相続税または贈与税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合

例えば、財産を寄附した人または寄附した人の親族などが、寄附を受けた特定の公益法人などを利用して特別の利益を受けている場合は、これに該当することになります。

5.手続き

相続税の申告書にこれらの特例の適用を受けようとする旨を記載し、かつ、その適用を受ける寄附または支出をした財産の明細書その他一定の書類を添付して申告しなければなりません。相続税の申告書の第14表が寄附または支出した財産の明細書になっています。一定の書類とは、次に掲げるものをいいます。

(1) 上記の「国、地方公共団体または公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附した場合の特例」の適用を受ける場合

・ 国、地方公共団体または特定の公益法人の特例の適用を受けようとする財産の寄附を受けた旨、その寄附を受けた年月日および財産の明細ならびにその法人のその財産の使用目的を記載した書類

・ 寄附を受けた法人が地方独立行政法人または学校法人(上記の「国、地方公共団体または公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附した場合の特例」の(3)③の地方独立行政法人または(3)⑦の学校法人をいいます。)である場合には、その地方独立行政法人または学校法人に該当するものであることについて地方独立行政法人法第6条第3項に規定する設立団体または私立学校法第4条に規定する所轄庁の証明した書類

(2) 上記の「特定の公益信託の信託財産とするために支出をした場合の特例」の適用を受ける場合

・ 特定公益信託の受託者(信託会社)のその受領をした金銭がその特定公益信託の信託財産とするためのものである旨、その金銭の額およびその受領した年月日を証する書類

・ この特例の適用がある特定公益信託であることについての主務大臣の認定に係る書類(その認定をした年月日の記載のあるものに限ります。)

(3) 上記の「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)に寄附した場合の特例」の適用を受ける場合

・ 認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)の特例の適用を受けようとする財産の寄附を受けた旨、その寄附を受けた年月日および財産の明細ならびにその認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)のその財産の使用目的を記載した書類

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。